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確率とゲーム理論

2020年4月12日

ゲームに参加する上で、もしくは、そもそもそのゲームに参加するかを決める上で、そのゲームの特性を理解する事は非常に重要です。そのゲームで勝ち目はあるのか?どのように取り組めば、どのように考えれば勝てる確率を上げられるのか?を考えます。
そのゲームでどのくらいのリターンが偉ると期待できるかを示す値が「期待値」です。参加するための費用が期待値を下回るゲームは、参加する価値があります。
また、基本的に、(元締めが手数料を取っているような)マイナスサムゲームは長期的に参加すると負けるゲームで、(参加者のみで行う)ゼロサムゲームは相手との心理戦やスキルによる戦いになる場合が多く、(お金を提供してくれるスポンサーがいるような)プラスサムゲームは長期的に広範囲に張った方が勝てるゲームです。


確率論における期待値

「期待値」はそのゲームで得ることのできる平均値のような値です。1回のゲーム参加では勝つこともあれば負けることもありますが、参加する回数が増えれば増えるほど、得られた値の平均値は期待値と近くなります。
期待値の計算方法は簡単です。得られる値と確率をすべて足し合わせることで期待値を計算できます。
たとえば、サイコロを振って出た目×100円を得られるゲームがあったとします。つまり、100円、200円、300円、400円、500円、600円のいづれかを出た目に応じてもらえるゲームです。サイコロが均等に作られていれば、それぞれの目が出る確率は、1/6になります。従って期待値は以下の式で計算できます。
(1/6)×100円+(1/6)×200円+(1/6)×300円+(1/6)×400円+(1/6)×500円+(1/6)×600円=350円
このサイコロのゲームの期待値は350円なので、参加費用が350円未満なら得をする可能性が高いです。逆にこのゲームの運営者の場合は参加費用を350円より大きく設定すれば儲かる可能性が高くなります。


ギャンブルや宝クジなどの期待値の割合

下の表に期待値の割合を示す。期待値の割合とは 参加費用 対 期待値 の割合で、100%は 参加費用=期待値 を意味し、期待値の割合が少ないほど戻ってくる値が少ない事を意味する(インタネット調べ)。

カテゴリ 期待値の割合
宝くじ・ロト6など 40%〜50%
競馬・競艇など 60%〜80%
パチンコ・パチスロ 75%〜85%
ラスベガスカジノ 90%〜98%

例えば「宝くじ」では期待値が50%程度なので、300円の宝くじを買ったとすると戻ってくる金額の平均は150円程度となる。


ゲームには運営者がいる

では残りの150円は何処に消えたかというと運営者の手数料や利益となる。大抵のゲームには運営者がいて、運営者は当然の事ながら自分たちの利益の為にゲームの運営をしているのである。たとえば、宝くじを運営するには宝くじを刷って発行する費用や、販売店や販売員の手数料、宣伝費用、さらには宝くじの収益金による慈善事業(これも宣伝のうち)、運営者側の利益、など多くの費用がかかっている。 宝くじにおける期待値以外の残りの約150円はそれらの費用に割り当てられている。言い方を変えれば、期待値150円の宝くじを手数料込みで300円で買っているということになり、購入してしまった時点で購入価格の約半分は手数料として払っているのである。この事実は大々的に伝えられることはなく、「1等総額7億円」などの当選できた場合の高額当選金で目をくらませて膨大な手数料を搾取する巧妙な戦略である。もしも販売する時に「宝くじ1枚300円(手数料150円を含む)」って書いたら誰も買わなくなってしまう。
さらに「1等7億円が出た店」なども数字のトリックである。「またまた今年もこの店から7億円当選が出ました!」と聞くと、何か神がかりな「力」を想像するが、宝くじでは販売枚数に当選確率が比例するので、これは「この店で毎年沢山の宝くじが売れています」と同じ意味である。当然のことながら買う側の立場で見ると、わざわざ行列に長い時間ならんで買ってもどこの店で買っても当たる確率は同じである事は言うまでもない。


期待値別のゲームの取り組み方

「期待値別の取り組み方」などと書いているが、要するに「期待値の割合」が 100% 未満のゲームは欲望に負けて参加してしまったらその時点で負けである。趣味として楽しむのは勝手だが、そこから利益を得ることは期待出来ないことを理解して取り組むべきである。
しかし、万が一、どうしても期待値の割合が 100% 未満のゲームに参加せざるを得なくなってしまった場合、たとえば、「あなたの手持ちが100万円しかなく、重病にかかっていて1000万円の手術を受けなくては1週間後に死んでしまう、ラスベガスのルーレットに掛けて稼ぐしか生き残る道はない」ような場合はどうだろうか? この場合、一発勝負に出るのが得策である。なぜなら、ゲームでは回数が多くなればなるほど期待値(<100%)に近づくので必ず負ける可能性が高くなる。しかし、回数が少なければ買ったり負けたりするので、可能性は低いが勝てる確率はある。具体的に計算すると、先ほどの表でラスベガスのルーレットの期待値は約 95% なので、やればやるほど 95% に近づくのである。仮に 50回やったとすると、0.95の50乗となるので約 7% の 7万円まで減ってしまう事になる。この様に期待値の割合が 100% を下回るゲームを「マイナスサムゲーム」という。マイナスサムゲームは、ゲームの運営側が利益を取るようなゲームなので、この種のゲームから利益を得ることはできない。
一方で、期待値の割合が 100% を超えるゲームがあった場合、そのゲームは勝つことができるゲームである。これは運営側が支出をするようなゲームであり、たとえばイベントでの抽選や、企業の宣伝などで行うゲームがこれらに相当する。期待値の割合が 100% を超えるゲームにおいても1回の参加では買ったり負けたりするが、回数が多くなればなるほど勝つ割合が期待値(>100%)に近くなるので儲けが出る確率が大ききなる。この様に期待値の割合が 100% を超えるゲームを「プラスサムゲーム」という。プラスサムゲームはゲームの運営側が支出をしたり何かの蓄えを分けるようなゲームで、この種のゲームでは参加回数を増やせば増やすほど利益を得る可能性が高くなる。
ちなみに、運営者が利益の搾取や支出も行わずに参加者の中だけで利益を奪い合うようなゲームを「ゼロサムゲーム」といい、これもマイナスサムゲームと同じくらい勝つことが困難なゲームである。


労働と賃金、専門知識と対価

一般に利益(賃金)は労働した対価として受け取る事ができます。また、専門知識や資産などを活用することでも対価を得ることができます。我々が持っている一般的な感覚でも、利益を得るには働かなくてはいけません。では、正当な労働による利益(報酬)と、ギャンブルでテクニックを磨いて得られる利益(儲け)との違いは何だろうか?
両者ともに努力や時間や費用をかけて利益を得ている点は似ています。
最も大きな違いは、労働により得られる利益においては、その労働を必要な人がいて、その人達が労働者から恩恵を受けた事に対し報酬支払っている点であり、世の中の役に立ち重宝され望まれるし好まれる傾向がある。ギャンブルにおける利益においては、ゲームの運営者の目論見に反して習熟度が上がってしまったために仕方なく運営者が賞金を支払う事となり、後者は社会や運営者から重宝される事はなく、更に習熟度がプロと呼ばれる段階に達すると排除されることもあり得ます。


株式市場について

まず、株式投資はマイナスサムゲームでしょうか?プラスサムゲームでしょうか?
この問題に答えるのは簡単ではなく、さらに投資家の取り組み方によっても見え方が違います。
まず、株式市場を大きく捉えると、企業が配当金(や株主優待)という形で資金を提供しているので、その点では大きな括りではプラスサムゲームと言えます。配当金による利益をインカムゲインと言います。
しかし株式市場による損益はそれだけではなく、株価自体の値動きがあり、投資家の間で資金の取り合いが行われます。この意味ではゼロサムゲームに近い状況になります。このような株価の変動による利益をキャピタルゲインと言います。
比較的安定した株式に投資しインカムゲインを取るような投資を行えばプラスサムゲームとなるので、参加回数が多くなれば期待値に近い利益を得ることができます。つまり、インカムゲインによる利益を目指すなら、期待値の章で述べたように、安定した銘柄に絞って、幅広く、長期的に、大規模に購入する事が重要です。株式の配当金の一般的な期待値の割合(株価に対する割合)は 102% です。上場企業における倒産率は 0.1% 程度のようなのであまり影響はなく、2% の利益が期待できます。
では、株式投資において利益を得られるのは何故でしょうか?労働?ギャンブル?
株式投資はギャンブルではありません。ギャンブルのように一か八かで買うこともできますが、それでは成功しません。投資家が支払う労働は、会社について理解し市場の安定性を図ることです。それに加えて資産を活用することで利益を得られるのです。この2つが揃わないと安定した対価(利益)を得ることはできません。市場や会社を分析し理解し勉強し適切な分野や会社に資金を提供するという労働に対してのみ対価が得られるのです。


*資料提供:Kids-Hero Research Institute.